医療法人社団白羽会様の在宅看取り研究に関する多変量ロジスティック回帰分析支援望ましい死の達成度評価(GDI)と看取りの全般的満足度との関連を統計解析
在宅看取りに関する遺族調査データを用い、GDI各項目と看取り満足度との関連を多変量ロジスティック回帰分析で検討
スタットエージェントでは、医療法人社団白羽会様からご相談いただいた在宅看取り研究に関する統計解析・多変量解析を支援しました。本件では、訪問診療を受けた患者様のご遺族を対象とした質問紙調査データについて、望ましい死の達成度評価(GDI)と看取りの全般的満足度との関連を多変量ロジスティック回帰分析で検討することが主な目的でした。
ご相談時に共有された内容では、2020年5月から2024年4月までに死亡した訪問診療患者1,857名のご遺族を対象にアンケート調査が行われ、867名の患者遺族から回答が得られていました。添付された解析用データについても、867名分のレコードが収録されていることを確認しています。
なお、本記事では研究倫理・守秘義務に配慮し、個々の患者情報、具体的な解析結果、オッズ比、有意確率、研究上の未公表所見などは掲載せず、公開可能なご相談内容と分析支援の概要を中心に紹介します。
支援概要医療法人社団白羽会様の在宅看取り研究について、867名分の遺族調査データをもとに、看取りの全般的満足度を目的変数、GDI関連項目を説明変数とする多変量ロジスティック回帰分析を支援しました。どのGDI項目が、他の項目を同時に考慮したうえでも看取り満足度と関連するかを検討するための統計解析です。
ご相談いただいた在宅看取り研究の概要
研究背景今回のご相談は、訪問診療を受けた患者様の看取りについて、ご遺族による評価を用いて検討する研究に関するものでした。ご相談内容では、2020年5月~2024年4月に死亡した患者1,857名の遺族に質問紙法によるアンケート調査を実施し、867名から回答が得られたとされています。単純計算では回答割合は約46.7%となります。
研究上の中心的な問いは、望ましい死の達成度評価(GDI)の各質問のうち、どの項目が「看取りの全般的満足度」と関連しているのかを、多変量解析によって検討することでした。複数のGDI項目を同時にモデルへ投入することで、それぞれの項目について他項目の影響を考慮した関連を評価することができます。
| 項目 | 共有された内容 | 分析上の位置付け |
|---|---|---|
| 調査対象期間 | 2020年5月~2024年4月 | 訪問診療を受け、当該期間に死亡した患者の遺族調査 |
| 調査対象 | 患者1,857名の遺族 | 質問紙法によるアンケート調査 |
| 回答数 | 867名 | 添付解析用データにも867名分のレコードを確認 |
| 主要な評価 | 望ましい死の達成度評価(GDI) | 各GDI関連項目を説明変数として検討 |
| 目的変数 | 看取りの全般的満足度 | 二値アウトカムとしてロジスティック回帰分析の対象 |
| 分析手法 | 多変量ロジスティック回帰分析 | 複数のGDI関連項目を同時に考慮して関連を検討 |
添付データで確認したGDI関連項目と看取り満足度
データ確認添付されたExcelデータは、見出し行を除いて867名分で構成され、「看取り満足度」に加えてGDI関連項目が収録されていました。GDI関連項目については、問1が「痛み」「からだの苦痛」「穏やかな気持ち」の3つの下位項目として分けられ、問2から問17までの項目と合わせて、解析用シート上では19列のGDI関連変数として整理されています。
また、解析用データには0、1、3のコードが含まれているため、多変量ロジスティック回帰分析では、肯定・非肯定等の二値情報と無回答コードを区別し、目的変数および説明変数のコード体系を確認したうえで解析することが重要です。特に無回答を通常のカテゴリ値として扱わないよう、欠測の取り扱いを分析方針の中で明確にする必要があります。
| 区分 | データ上の項目例 | 解析時の確認点 |
|---|---|---|
| 身体的側面 | 問1-1「痛み」、問1-2「からだの苦痛」 | 肯定・非肯定・無回答のコードを確認 |
| 心理的側面 | 問1-3「穏やかな気持ち」、問3「楽しみ」 | 看取り満足度との独立した関連を検討 |
| 療養・環境 | 問2「望んだ場所」、問7「環境」、問10「納得した治療」 | 複数項目を同時に投入したモデルで評価 |
| 関係性・尊厳 | 問5「関係性」、問8「人として大切」 | 他のGDI関連項目を調整したうえで関連を確認 |
| 人生・意思 | 問9「人生をまっとうした」、問12「伝えたい事」、問13「未来の決定」等 | 係数の方向、オッズ比、信頼区間等を用いて解釈 |
なぜ多変量ロジスティック回帰分析を用いるのか
ロジスティック回帰分析看取りの満足・不満足のように、目的変数を二値として扱う研究では、ロジスティック回帰分析が代表的な分析方法の一つです。今回のようにGDIに複数の評価項目があり、それぞれと看取り満足度との関連を同時に検討したい場合には、複数の説明変数を投入する多変量ロジスティック回帰分析によって、各項目の独立した関連を評価します。
単純なクロス集計や各項目ごとの個別比較だけでは、GDI項目同士の関連を考慮できません。多変量モデルを用いることで、他の項目を一定とした場合に、あるGDI項目が看取り満足度とどのような関連を示すかを検討できる点が重要です。
| 確認項目 | 主な内容 | 研究上の意味 |
|---|---|---|
| 目的変数 | 看取りの全般的満足度を二値アウトカムとして設定 | 何を「満足」としてモデル化するかを明確にする |
| 説明変数 | GDI関連項目を分析モデルへ設定 | 各項目と満足度との独立した関連を検討する |
| 欠測・無回答 | 無回答コードを識別し、解析対象の扱いを整理 | 欠測値が推定や解釈へ与える影響に配慮する |
| モデル推定 | 回帰係数、オッズ比、95%信頼区間、有意確率等を確認 | 関連の方向、大きさ、不確実性を評価する |
| 多変量での解釈 | 他のGDI項目を同時に考慮した推定 | 単変量の関連だけでは分からない独立した関連を検討する |
GDIと看取り満足度の分析で重要となるデータ前処理
前処理ロジスティック回帰分析では、分析ソフトへデータを投入する前に、目的変数と説明変数のコードを明確にする必要があります。今回のご相談時には、GDIについて「肯定=1、非肯定=0、無回答=3」、看取り満足度について「満足=1、不満足=2、無回答=3」というコード定義が共有されました。一方、添付された解析用シートの「看取り満足度」列では0、1、3の値が確認できるため、実際の分析時には依頼時の定義と解析用データのコードを照合することが重要となります。
このようなコード確認は、単なるデータ整形ではなく、目的変数のイベント定義を誤らないための重要な工程です。また、無回答をどのように扱うかによって解析対象数が変わる可能性があるため、結果を報告する際には、最終的な解析対象と除外基準を明確にすることが求められます。
在宅医療・終末期医療研究における統計解析支援
医療統計在宅医療、訪問診療、終末期医療、緩和ケア、看取りに関する研究では、患者本人の情報だけでなく、遺族による評価、療養場所、症状、意思決定、尊厳、家族関係など、多面的な情報を扱うことがあります。そのため、研究目的に応じて、記述統計、クロス集計、単変量解析、多変量ロジスティック回帰分析などを適切に組み合わせる必要があります。
特に、複数の候補因子から「どの要因がアウトカムと独立して関連するのか」を検討する場合には、変数の定義、欠測値、イベント数、説明変数数、推定の安定性などを確認しながら分析モデルを構築することが重要です。

分析結果を医学研究・論文へ反映する際のポイント
結果記述多変量ロジスティック回帰分析の結果を論文や研究報告書へ反映する際には、分析手法名だけでなく、目的変数の定義、説明変数の設定、欠測値の扱い、解析対象数などを方法に記載し、結果ではオッズ比、95%信頼区間、有意確率等を研究目的に対応する形で整理することが重要です。
また、統計的に関連が認められた場合でも、それだけで因果関係が証明されたことにはなりません。調査デザインや測定方法を踏まえ、得られた関連を過度に一般化せずに考察する必要があります。スタットエージェントでは、解析そのものに加えて、結果表の整理や研究目的に即した統計結果の読み取りについても支援しています。
まとめ医療法人社団白羽会様の在宅看取り研究では、2020年5月~2024年4月の訪問診療患者を対象とした遺族調査について、867名分の回答データをもとに、望ましい死の達成度評価(GDI)の各項目と看取りの全般的満足度との関連を検討する多変量ロジスティック回帰分析を支援しました。本記事では未公表の具体的な解析結果を公開せず、研究目的、データ構造、分析方法を中心に紹介しています。
スタットエージェントの多変量ロジスティック回帰分析・医療統計支援
スタットエージェントでは、医療、看護、在宅医療、緩和ケア、心理学、教育学、社会科学等の研究を対象として、ロジスティック回帰分析、多変量解析、重回帰分析、質問紙調査データの集計・解析など、研究目的に応じた統計解析支援を行っています。
「どの変数を目的変数・説明変数に設定すればよいか分からない」「無回答や欠測値をどのように扱うべきか判断したい」「ロジスティック回帰分析の結果を論文用に整理したい」といった場合も、研究目的とデータ構造を確認したうえで分析方針を整理します。
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掲載方針:本記事は、依頼者から共有されたお問い合わせ内容および提供された解析用データから確認できる範囲に基づいて作成しています。患者個人を特定できる情報、未公表の具体的な解析結果、オッズ比、有意確率等は掲載していません。
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